家に住む
一軒の家が出来上がる。住まいはそこから始まります。
家は、そこから長い一生を開始するのです。家は、愛着をこめて手をかけてやると、不思議と応えてくれます。そしてだんだんと、住まい手に馴染んでいくのです。
住まいは完成しません。それは住み手が育てていくものなのです。
日本の住まいは、この十数年間というもの経済効率ばかりに囚われ、
生産者メリットを優先した新築競争に明け暮れ、あるいは装飾過多のデザインに陥り、必要以上の設備導入に追われてきました。
最近、それはちょっと違うのではということに多くの人が気づき始めています。
簡素で身の丈にあった普通の家がいい、という志向です。
内と外のあいだに
内でもあり 外でもある 曖昧な領域 たとえば 軒下の縁側 デッキ 内露地
そこは強い太陽の光や雨 風から内部を守ってくれる緩衝空間
そして自然を身近に感じ 自在な使い方ができる
暮らしの幅を広げる居場所のすすめ
外から内へ、内から外へ 人と自然を緩やかにつなぐ場所が家のそこにある
日本の住まいには、自然と親しむ工夫がある。
高温多湿の風土にあって、地域の気候に合わせて光や風を調節し
快適に過ごす、という先人たちの知恵や工夫を学び、進化させていく事がこれからの建築テーマだ。